初心者向け保育に使える絵画技法

はじめに

絵画技法には偶然を活かす技法が沢山あります。そのため年齢や絵の技術に関係無く誰でも楽しむことが出来ます。

技法の多くが保育や小学生、中学生の授業に取り入れられています。子供たちと一緒に絵画を楽しむ時間を持つことは人生を豊かにすると考えます。

偶然出来上がる絵に対して、どんなものが出来るのだろうか?という未来への期待や、こんな感じになるのではないか?という想像力、出来上がった美しい絵と対面する感動があるでしょう。

子供たちと一緒にワクワクしたり、感動を共有したり、会話以外の素晴らしいコミュニケーションを取れると考えます。そうして共有した楽しい時間は年齢を超えてお互いの記憶に残り続けることでしょう。

スパッタリング

絵具をつけた歯ブラシなどで細かな目を持つ網をこすり、絵具の粒子を飛ばす技法です。

絵の具を細かな目を持つ網に塗り、それをブラシでこする

あるいは目の細かな網を、絵具をつけたブラシでこすることで、小さな粒子として絵具を飛ばす手法。

画用紙に細かな霧のような絵の具のしぶきを飛ばすことができます。

エアブラシの粒子よりも荒い粒が得ることが出来ます。

空気のような柔らかい雰囲気のある作品を作成出来ます。筆で描くのとは違いブラシを擦るだけなので子供でも簡単に行うことが出来ます。

ステンシルプレートや型紙を使うと容易にアレンジすることも可能です。

絵の具や水の付けすぎてしまうと、網の目が詰まりやすいので注意が必要です。

マーブリング

マーブリングとは

絵の具などを水面に垂らしてできた模様を、紙に写し取る技法です。

マーブリングでは、絵の具よりも比重が重いマーブリング液(ゴム樹脂の水溶液)の水面に水分に反発する絵の具を垂らし、水面で広がったり、混じりあったりしてできたマーブル模様を紙に写し取ります。

本来は比重を調整した専用のマーブリング液や絵の具を使うものですが、

水を張ったバットに油絵具をテレピンで溶いたものを垂らして簡易に

手軽に楽しむこともできます。

準備にも時間がかかりません。

絵の苦手な方やお子さんでも

偶然出来る模様を楽しむことが出来ます。水の上に魅力的な色な模様が浮かび上がります。

こどもはもちろん、大人も夢中になる

マーブリングは写し取られる模様が大理石(marble:英)の模様に似ていることからそう呼ばれています。

バチック

バチックは、「ろう染め」「はじき絵」とも呼ばれます。

クレヨンやロウなどで絵や模様を描き、その上から多めの水で溶いた水溶き絵の具を塗る

絵の具を塗ると、

クレヨンやロウや油性絵の具の

油分が絵の具を弾いて面白い絵が出来ます。水分をはじいた色合いや効果を得る絵画技法のことです。

バチックは、思いがけない模様や色合いに出会えます。その偶然性を楽しみながら、その楽しみがあります。

ポイントとして上手に描くことが目的ではないため、

自由に描くことを楽しむことが出来ます。

絵具の濃度を変えると、さまざな濃淡が可能です。色と水を調整して濃度を発見していくことも、面白いでしょう。

シンプルでありながら、作品としての幅がとても広いことも特徴です。

スクラッチ

スクラッチとは、削ることひっかくことです。

ひっかき(スクラッチ)とは、あらかじめ下塗りした色の上に違う色を塗り重ね、その後、上の色を引っかいて削り取り、下の層の色を出す絵画技法のことです。

下地はクレパスかクレヨンを使います。上塗りはクレパスやクレヨンかアクリル絵の具を使用します。

白い画用紙黒以外のクレパスで塗ります。

画用紙の白いところがないように塗りましょう。

ティッシュでクレパスを伸ばしていくとムラなく塗ることができます。

次に黒のアクリル絵の具を下塗りの上に全体に塗ります。黒だけでなく何色かを混ぜて塗ると作品に深みが出ます。

爪やコイン、爪楊枝、平刀などの先が尖った道具を使って画用紙をひっかきます。そうやって下地のクレパスを出すことで描いていきます。

引っ掻いて模様を作ると、下からきれいな色が出てくるので制作過程を楽しむことができます。

こちらの記事ではさらにくわしく説明しています。

フロッタージュ

板、石、コインなど、表面に凹凸がある物の上に薄い紙を載せて、鉛筆や色鉛筆などででこすり、その表面のでこぼこを模様として紙に写し取る技法です。

このような技法およびこれにより制作された作品をフロッタージュと呼びます。

フロッタージュ(frottage)は、フランス語の「frotter(こする)」に由来します。

鉛筆などの描画材でこするように描くことで、対象の凹凸や形状を写し取る技法です。

フロッタージュの作品は、

制作者のコントロールが部分的には効かず、偶然浮かび上がる絵を楽しむことが出来ます。

コインや落ち葉などをフロッタージュをしてみると、

より細かく具体的に模様を見ることができます。

普段目にしているものでも、新たな模様の発見があるでしょう。

ステンシル

絵や文字を切り抜いたプレートを木材や布に当て、その上から絵の具を塗ってプリントする技法です。

ステンシルは、プレートを使い文字やイラストを、様々なものにプリントすることが出来ます。

ステンシルプレートがあれば、レタリングが出来なくても絵が描けなくても簡単におしゃれな文字やイラストをプリントすることが可能です。保育に取り入れたり、子供と一緒に楽しんだりすることも出来ます。

看板の作成が出来るし、布用の塗料を使えばオリジナルのTシャツ作りもできます。

ステンシルとは、やり方のコツとしては、シートの隙間に絵の具が入り込まないように、シートをきっちり貼って、隙間をなくすようにしましょう。

黒や茶色、紫など濃い色を使う方が、色ムラがなく作成することができます。

デカルコマニー

紙と紙の間などに絵具を挟み、再び開いて偶然性のある模様を得る技法です。

「デカルコマニー」とは、フランス語で転写するを意味するdécalquerが由来です。

紙などに絵の具を垂らし、乾かないうちに別の紙を押しつけると、予想もできない面白い模様が現れます。

混じり合って偶然できる色や不思議な模様を楽しむテクニックです。

出来上がった物から、自由に発想したり想像をふくらませる楽しみもあります。

簡単にきれいな模様が作れるので子供と一緒に楽しむことが出来ます。

何が出来上がるか分からないわくわく感と、偶然に作られる左右対称の形は、子供にとっての絵画に興味を抱く第一歩となるでしょう。

ストリング

二つ折りにした画用紙に、絵の具をつけた糸をはさんで手で押さえながら、自由に動かして、引き抜きます。

糸を引き抜いた後に画用紙に描かれた偶然に出来上がる模様や形を楽しめる絵画技法です。

糸の置き方や動かし方により様々な模様を楽しむことが出来ます。

テクニックが無くても自由な発想で描ける絵画技法なので子供と一緒に楽しめるでしょう。

糸は、ある程度太さがないと、絵の具が染みこみにくいです。

手縫い糸やミシン糸のような細い糸よりも、毛糸やビニールひも、たこ糸、料理用の糸など、ある程度、太さがある方がやりやすいです。

三つ編みにした毛糸や撚り合わせた糸も使えます。様々な太さや素材の糸を試してみて下さい。

スタンピング

paint technique of stamp

凹凸のあるもに絵の具をつけて型として支持体に押し当てて型の模様を表す絵画技法です。

偶然にできる形や色を利用して表現する技法なので子供と一緒に発見を楽しみながら行うことが出来ます。

ペットボトルのキャップやダンボール、

木の葉や木の枝や石などの自然の物や、手を使ってスタンプしましょう。

スタンピングは、型選びや型作りも楽しい工程です。芋や消しゴムなどを削ってスタンプを作成して使うのも良いでしょう。

同じ材料でも、違う面を使うなどやり方によって様々な模様ができたりします。

同じ型でも、色を変えてみたり、繰り返し押してみたりすることで

全く違った効果が得られるでしょう。

アクリル絵の具を使ってTシャツやトートバッグを作るのも良いでしょう。

アクション

絵の具を垂らしたり散らしたりと絵を描く動作を強調した技法

アクション・ペインティング(Action painting)とは、顔料を紙やキャンバスに垂らしたり飛び散らせたり汚しつけたりするような絵画の様式である。

できた作品は、具体的な対象を描いたというより、絵を描くという行動(アクション)それ自体が強調されたものになる。そのためジェスチュラル・ペインティング(gestural abstraction 、身振りによる抽象絵画)とも呼ばれる。

ブラッシュ・ストロークやドリッピングといった、描法に特徴的な身振りを伴う

これらの絵画はフォルムや色彩、構成、デッサンは補助的なものになり、

行動主義的かつ実存主義的なアプローチが目立つ

同時に絵画の形式的側面を軽視しているとも見なされている

キャンヴァスを出来事が生起する場所として捉え、絵画空間を劇場的な舞台として描き出される

ドリッピング

ドリッピング/ポワリング(ポーリング)

絵の具をそのまま垂らして描く技法です。

アクション・ペインティングの画法の一つです。

抽象表現の無意識的なイメージを重視するスタイルとなります。

キャンバスを床に広げ、刷毛やコテで空中から塗料を滴らせて線を描く技法です。

床に置いて描くことはインディアンの砂絵の影響などによると言われています。

「地」も「図」も無く均質となったその絵画はオール・オーヴァーと呼ばれています。

絵画における「図」は文字や物質、モチーフなどの形になり、「地」はその背景になります。

オール・オーヴァーは、「全面を覆う」という意味の絵画用語です。「ドリッピング」や「ポーリング」といった技法に見られるように、「地」も「図」も無く画面の全体を均質に処理していく絵画に対して使用されます。

まとめ

誰でも簡単に美しい作品を作ることができる技法を紹介いたしました。

歯ブラシで金網を擦るだけだったり、絵の具を垂らすだけだったり、絵の具を画用紙に挟むだけだったり、押しつけて擦るだけだったり、型に絵の具を塗るだけだったり、簡単な動作で美しい絵が出来上がります。

難しい技術は必要なく、年齢も関係なく子供でも高齢者でも絵を描くことが出来ます。

出来上がる作品と共に、作品を作る時間を楽しむことも出来るでしょう。

子供たちと一緒に、この技法を使い絵を描くことで言葉が使えなくてもコミュニケーションが取れると考えます。

そうして一緒に過ごした時間は保育する方もされる方も双方にとってかけがえのない時間になることでしょう。


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