色彩について その三

はじめに

 ベティ・エドワーズ の「色彩・配色・混色: 美しい配色と混色のテクニックをマスターする」を参照に色彩について書きます。その三回目です。

 色を判別したり混色したりするのは脳においてLモードの役割となります。知識とテクニックを身につけておいて作業としてこれらをできるようになった方が良いでしょう。そうすることでRモードで色を観察することに時間を確保することが出来ます。

同時対比

 一つの色のとなりに別の色を並べると、隣り合う二つの色によって色の見え方が変化します。配置された複数の色を同時に見る時に起こる現象です。

 隣合う色の影響で青色の明るさが変化したり、ハレーションを起こしたり、隣の色が微かに混ざって見えたり、輝いて見えたりします。

 四角いブルーの背景を黄色、緑色、橙色にするだけで、同じ色を3つのちがった色に見せることができます。

 黄色を背景とするブルーは、緑色を背景とするブルーよりも暗く見え、橙色を背景とするブルーは、最初の2つよりも明るく見えるのです。

 色彩にはおたがいを前進させたり後退させたりする効果があり、色彩の相互関係の知覚に影響をおよぼします。この効果を同時対比と呼びます。

 レッドとグリーンは強いコントラストをなす色で、補色と呼ばれる関係にあります。

 補色どうしが並置されることでコントラストが強まると、ハレーションを起こし色がちらついて見えるのです。

 グレーを別の色で囲むと、それぞれの背景の色彩をかすかにおびているように見えます。

 円形部分を残して、周囲をグレーに塗ると、なにも塗られていない部分が紙の地色よりも白い内なる光で輝いているように見えます。

色彩の3つの属性

 色彩をするにあたり、色を調合するためにはまず、色彩の3つの属性である色相、明度、彩度を判別できるようになることが必要です。

 目に見える色と、それをつくるのに使うべき絵具が完全に一致することはほとんどないからです。

 絵具の数はふつう8くらいです。色相環上の3つの原色と3つの等和色の6つに、ブラックとホワイトが加わった8つです。

 目に見えるどんな色でも調合できるようになるために、知覚された色を観察して色相、明度、彩度を判別する方法を身につけなければなりません。この世に存在するすべての色は、この3つの属性によって判別されます。

 色を判別するためにはまず、色の原型(相環上の12色のうちの1つ)を識別することで色相を確認し、次に明度(色の明るさ、暗さ)を確認し、最後に彩度色の(あざやかさ、鈍さ)を確認します。

色相を判別する

 それが何色であるのか、第1の属性である色相を判別します。

 色の原型は、色相環の基本的な12色のうちのどれかを見極めます。そのようにして、その色の原型を解き明かしましょう。

 青なのか赤なのか黄なのか、まずは近い原色を判別しておいてから細かく見ていくと良いでしょう。初めは色相環を見ながら判別すると良いでしょう。

明度を判別する

 明るさ、暗さは、ホワイトからブラックまでの7段階の明度スケールと対照してどの程度かを見極めましょう。

 室内での照明をやや暗くしてみると明度をつかみやすいでしょう。薄めにして対象を観察しても良いでしょう。

彩度を判別する

 彩度は、色のあざやかさ、鈍さを示します。この色のあざやかさ、鈍さは、あざやかな色から

鈍い色までの彩度スケールと対照して、どの程度かを見極めましょう。

 ゴッホや印象派の絵のように他の色と混ぜていない原色ほど鮮やかです。

 色の彩度を落とすには補色を加えるのが最も効果的な方法です。

色彩用語と基礎知識

 3つの原色の名前、3つの等和色の名前、6つの第三色の名前、類似色補色という用語の意味、そして、色の三属性である色相、明度、彩度

 色の観察を困難にするさまざまな要素である、色の恒常性(自分が見ようと思う色だけが見えること)、同時対比(隣接する色が相互におよぼす影響)、さらに、光が色におよぼす影響

 絵具をあつかうために、これらの用語と基礎知識をもっていることが重要です。

おわりに

 色彩の三属性を知っておくことは、見ている色についての観察、その色を混色し作り上げることについて必須です。対象となる色を観察し、何色であるのか?明るさはどのくらいか?鮮やかさはどのくらいか?その三つを判別し、混色して同じ色を作成します。

 同時対比を上手に使えば灰色の空に浮かぶ丸く輝く月を灰色の絵の具一つで表現できてしまいます。また他の色を灰色で囲むとその色が灰色に僅かに混ざっているように見えます。色彩する上で灰色の力を知っておくことはアドバンテージとなります。

 同じ青色でも背景の色により明るさが異なって見えます。補色や類似色により同じ青色でも違った色に見えるのです。


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