もう二匹のクモなんかに二人の姿を重ねたりしない

2000,MAY,24

もう二匹のクモなんかに二人の姿を重ねたりしない。
少し長めの、ありえない夢を見たんだ。

四年前から成長もせずに、
また同じ終わりを繰り返した身に、
身につけたはずだった術は、
ただの思い込みで、
二重に傷ついてしまった。

甘く、ふざけた予感は消えた。
二匹のクモは一匹になっていた。

あの子のことを考えながら、
天井を眺めていた。
そして、また二匹のクモを見つけた。

殺してしまおう。
大きいクモと、その半分ほどのクモ。
「おや、夫婦かい?」
そう思って、見逃して、
何日か眺めていた。

「こんなに好きになったのは、」と言った。
「今回はね、予感がするんだ!」と話した。
「これが最初か?それとも最後か?」と、
自問していた。

気づいたら、
もう一匹のクモも消えていた。

もう二匹のクモなんかに、
二人の姿を重ねたりしない。

少し長めの、ありえない夢を見たんだ。
分からないのは、これからと、クモの行方。

違ってるのは、そんなに痛まない傷。
分かっているのは、まだ好きだってこと。
しかし、チャンスはなさそうなこと。

でも、もしかしたら、って話し。


作品リンク


制作メイキング

この作品は、20代の頃に書いた詩をもとに制作しました。

  • 歌:suno(プロンプト:Stranger Things 風)
  • イラスト・映像:grok(AI動画/回転を意識したプロンプト)
  • 編集:iMovie

過去の言葉に、今の技術を重ねることで、
当時とは違う輪郭を持った作品になった気がします。

詩は時間を越えて、
何度でも別の形で息をする。

作詞:kmskv